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舷側の工作について

舷側用の板をシハチの合板からどのように切り出すかについてですが、下の図を参考にしてください。

単純にシハチの板から40cm幅で245cmの長さの板を2枚切り出すだけですので、そんなに難しいことではありません。

ここで、思い出していただきたいのは、船底用の板の全長が230cmで、舷側用の板の全長が245cmですのでその差の15cmが船首と船尾の傾きを生み出すことになります。

分かりにくい方は、等ボートの真横からの写真を見ていただくと、船首最上部と船首最下部との間の傾きが分かると思います。

舷側の板の高さを40cmとしていますが、Small Boat誌の国方氏の記事では高さが35cmとなっています。5cmの高さの増大は、もっと舷側を高くした方が波が打ち込みにくいのではと私が勝手に判断したものです。

確かに舷側が高い方が、波などが入ってくる恐れは少なくなるのですが、エンジン取り付けのために船尾板に切り込みを入れざるを得なかったという余計な作業もでてきました。

総合的にみると、船尾部分の切り込み箇所が強度的に弱くなることもあり、35cm幅の方が良いのかもしれません。

次に、いよいよ選定に舷側板をステッチで取り付けることになります。

船底板の長さのちょうど半分になる所に鉛筆でマーキングします。また、舷側板の長さのちょうど半分になる場所に同じように目印をつけます。

船底板のマーキングと舷側板のマーキングをぴったり合わせながら、船底板と舷側板を銅線でステッチしていきます。

舷側板を船底板にステッチして、押し広げてみると、結構うわすぼみになってしまいます。そのため、ボートらしい形にするために、船底や舷側部分に適宜に臨時の突っ張り棒を差し込みます。

突っ張り棒は船底にくぎ止めをしています。突っ張り棒はいずれ外しますので、船底にくぎ穴が開くことになりますが、これくらいの穴でしたらエポキシ接着剤で簡単にふさぐことができます。

両側の舷側の板をステッチで取り付けると、次は船首と船尾の板を同じくステッチで取り付けます。

なお、ステッチ&グルー工法なのに、何時接着剤を使うのかですが、ステッチである程度船体を形作り、かなり固まった時点で接着作業を行います。

船首と船尾の板を取り付ける前に、ある程度ボートの最大幅を決めた方が良いと思います。

最大幅とは、自分の車の屋根に乗せる場合、ルーフキャリアの幅に合わせるということです。つまり、キャリアに乗せた場合、ボートの幅がそれより大きいとキャリアには乗らなくなります

と、言うことは、車にルーフキャリアを装着していない場合は、この時点で実際にキャリアを装着しておいた方が良いということです。

この時、市販のルーフキャリアを使うのですが、自分の車で法令違反にならない範囲の最大幅のキャリアを用意してください。

自動車用品店に在庫が無い場合が多いので、取り寄せになると思います。

また、キャリア横幅ぎりぎりにボート幅とすると、ボートを固定するロープの結びシロがなくなりますので、ロープをかける幅を数センチは取っておいてください。

ロープではなくて、荷物固定用のベルトを使用できると思いますが、その辺はお好みです。ちなみに私は、ロープをシープシャンク(トラック結び)でボートを固定しています。

この辺は、ボートをキャリアに乗せる場合をイメージする必要があると思います。

カートップで運ぶ自作ボートの場合は、このボートの最大幅をどのようにするかが大きなポイントとなりますので、くれぐれも後悔しないように熟慮してください。

当然、車体の幅から飛び出して車両違反にならないようにもしてください。

カートップにしない場合は、適当に自分の好みの幅にしてもいいと思います。

ボートの最大幅を決めて、突っ張り棒で仮固定させて、船首等の形を確定させてから、船首と船尾板を切り出します。

その切り取った角度が、船首等の飛び出す部分、すなわちオーバーハングとなります。

船首等の板をどのように切り出すかですが、ベニヤ板を船首や船尾にピタッと合わせて、その形をベニヤ板に鉛筆で写し取り、レーザーノコで切り出せば良いのです。

ここで、どっちが船尾で船首かの問題ですが、どちらでもいいのですが、船外機を取り付ける方が船尾、反対側が選手になります。

そして、船外機を取り付ける方には、エンジン自体の重量があり推力の荷重がかかりますのでエンジン取付部分の補強をすることになります。

また、通常のボートでは、船首は尖り、船尾は広いままですが、プラムでは船首と船尾同形です。

通常のボートでは、尖った船首のため、波切も良くスピードや安定性も増します。その代り工作は難しくなり、船内も狭くなります。

一方、プラムでは、平たい船首のため、スピード等は落ちますが、工作は容易になり船内も広く取れます。

スピードが落ちると書きましたが、自作ボートは2馬力エンジンのため、そもそもスピードは出ませんし、また、エンジンや乗員の重量バランスのため、船首板の部分は水面より浮いており、実際上は船首板にもろに水の抵抗はあまり受けません。

ただし、時たま波の間に船首が突っ込むときがあれば、それはそれは波をまともにかぶります。冗談抜きに前席の乗員はしぶき除けの傘を持った方が良いくらいです。

船首板と船尾板をステッチで取り付けると、船体の形も船らしくなってきます。

なお、ステッチした後、よじられた銅線が突き出ていると思いますが、これを突き出ることなく切断するのか、それとも多少突き出たままにしておくのかがありますが、私はよじれたまま最小限部分を残して切断していました。

エポキシで接合すれば、銅線が突き出ていなくても十分な強度が得られると思いますが、そこはそれ少しよじれ部分があった方がもっと強いのではないかと思ったからです。

いよいよ、次はステッチ&グルー工法のグルーの作業に取り掛かります。